『21世紀は腸の時代、腸は第二の心臓、病気も老化も腸しだい、腸が健康ならガンも認知症も心配する必要がない』 と腸を元気にすることが健康になる一番の近道との情報を頻繁に目にしますが、期待を一身に背負っている「腸」とはどのような臓器なのでしょうか?
何故、腸が健康維持の要となる臓器なのか?
本来、腸は栄養を消化吸収して食べカスを排泄するというイメージの臓器でしたが、30年程前から健康を司る臓器として紹介されはじめ、善玉菌・腸内フローラ・腸活などの健康用語が生まれてきました。
過去にNHKが腸内フローラ(腸の中に棲息する細菌の生態系のこと)の解明が世界的プロジェクトで進んでいて、解明されれば 癌、糖尿病、老化、認知症、肥満など様々な健康上の悩みから人は開放されると放映しました。
大げさな言い方をすれば腸に不老不死を得るための謎が隠されているような期待を感じるような内容でした。
そこで、腸が大切な臓器である理由を考えたいと思います。
腸が私達の体の健康維持のためにおこなっている3つの働き
栄養は腸で吸収され血となり細胞に届く
人は生きていくために必要な栄養を食事から摂ります。
そして、その栄養は小腸で吸収され血液となり全身の細胞へと届けられます。
つまり、腸が健康なら栄養が十分に吸収され、その栄養が質の良い血液になりますので、体は健康になります。
しかし、逆に腸の調子が悪いと栄養を十分に吸収することが出来ずないので、血液は質の悪いものになってしまい体は元気がなくなってしまうのです。
せっかく栄養価の高い食事を摂っても腸が健康でなければ栄養が十分に体に還元されないので勿体ないのです。
これはサプリメントも同じことで、どんなに素晴らしいサプリメントでも、腸の状態が悪ければ有効成分が十分に吸収されず効果が発揮されにくくなります。
また、調子の悪い腸は食物と一緒に摂り入れてしまった食品添加物や化学物質などの有害物質を浄化しきれません。
浄化しきれなかった有害物質は血液に乗って血管を傷つけながら細胞に届いてしまい疾患を発症する原因となってしまうのです。
つまり、腸の不調は体中の臓器や組織や細胞に影響してしまうのです。
免疫細胞の約70%が腸に存在している
人は口から栄養を摂りますが、困ったことに有害物質やウィルスや病原菌も取り込んでしまいます。
つまり、人は体内に頻繁にできてしまう癌細胞の原因となる、有害物質やウィルスや病原菌の侵入の脅威にさらされながら生きているのです。
このような危険な状態に常にさらされながら生きていられる人間は凄いのですが、じつは、体内の免疫細胞がかなり頑張ってくれているのです。
免疫細胞は侵入してきた有害物質を無害化し、ウィルスや病原菌を退治します。
この免疫細胞が元気なときはいいのですが、元気がないとき、人は病気になり進行すると悲しい事態を迎えてしまいます。
大事な役割を担っている免疫細胞ですが、体内に存在する免疫細胞の約70%が腸に存在しています。
良質の畑に栄養価が高い瑞々しい野菜が育つのと同じで、たくましく攻撃力がある免疫細胞は健康な腸があればこそ存在でき、その力を発揮出来るのです。
体内でつくられる酵素の大部分が腸でつくられる
酵素は生物の細胞内で作られるたんぱく質性のもので生命活動にはかかせません。
心臓が動いたり、呼吸をしたり、食べたものを消化したり、排泄するなどの活動は酵素があるからこそ出来るのです。
つまり、酵素がなければ生き物は生命を維持することができないのです。
酵素には体内でつくられるものと、食べ物から摂取するものとの2種類があります。
体内でつくられる酵素には消化酵素と代謝酵素があり、その大部分を腸内細菌が作りだしています。
お酒やタバコ、過食、ストレスの多い生活環境、食品添加物や医薬品の使用などによって体にたまった毒素、また、紫外線、レントゲン、電磁波を浴びたときに発生する活性酸素などを解毒(デトックス)するためには大量の酵素が必要となります。
現代人は毒素がたまりやすい環境におかれています。
それらを解毒するには大量の酵素が必要となります。
そのためにも、腸のコンディションを最良にして、腸内細菌が効率よく酵素をつくる環境をつくり、体内にたまる様々な毒素をどんどん解毒できる体質をつくることが健康には必要なのです。
腸内細菌が作る物質が細胞を生き返らせる
腸の働きについて3つ前述しましたが、これらの働きついては、様々なメディアが紹介しているので知っている人も多いと思われます。
当ブログでは、もう一つメディアがあまり紹介しない「腸の重要な働き」を説明したいと思います。
それは腸の中で腸内細菌が細胞の修復と再生に役立つ物質をつくっていることです。
存在自体が不思議な腸内細菌ですが、最近の研究で腸内細菌が生命を維持するのに必要となる物質をつくっていることがわかってきています。
その代表格が腸内細菌の中の乳酸菌がつくる「乳酸菌生産物質」です。
腸内で「乳酸菌生産物質」が作られることは、腸の4つ目の特出した働きとなります。
この乳酸菌生産物質の中には、人体の健康を守る抗酸化・抗腫瘍・抗老化・抗炎症物質や元気の素の必須アミノ酸・肥満やアレルギーを抑制する短鎖脂肪酸・女性ホルモンに代わる美容物質などたくさんの有効成分が300種類以上も含まれています。
そして、これらの腸内で作られた様々な健康成分は血液を経由して細胞や組織に送られ、細胞の修復と再生が促されるなど、私達の身体の健康維持に役立てられるのです。
腸が本当に凄い臓器なのは食事から摂った栄養と腸内で腸内細菌がつくった細胞の修復と再生をする物質(乳酸菌生産物質)の両方を血液に乗せて60兆の細胞に届けていることです。
私達の体は60兆の細胞の生まれ変わりによって若さと健康が保たれています。
腸が元気に働けばキレイな血液(栄養)と質の良い腸内細菌の産生物(乳酸菌生産物質)が細胞に届けられるので若々しく元気に生きていけるのです。
腸の中には共に生きる「腸内細菌たち」がいて彼らが私達を守ってくれています。
いつでも腸が元気でいて健康いられるように「腸内細菌」を大事に育てて行きましょうね。
当ブログでは乳酸菌生産物質と腸の健康について紹介しています。
乳酸菌生産物質について詳しくお知りになりたいかたは、 腸の中で作られる「乳酸菌生産物質」という不思議な発酵物質 の記事もお読みになってくださいね。